60代からの時間術|退職後の充実した時間の使い方イメージ

60代からの時間術|退職後の充実した時間の使い方と新しい目標の見つけ方

60代からの時間術

退職後の充実した時間の使い方と新しい目標の見つけ方

はじめに

こんにちは、ライフスタイルアドバイザーの高橋美智子です。退職後、多くの方が「時間はたくさんあるのに、なんだか充実感がない」「毎日が同じことの繰り返しで物足りない」と感じていらっしゃいます。私も定年退職した時は、長年続けた規則正しい生活から一転して、「明日は何をしよう」という戸惑いを感じました。しかし、時間の使い方を見直し、新しい目標を設定することで、今では毎日が発見と成長に満ちています。現在の神戸での充実した生活を通じて学んだ、時間の過ごし方をお伝えします。

退職直後の時間の戸惑いと向き合う

退職してまず感じたのは、時間の感覚の変化でした。事務職として働いていた頃は:

● 朝7時起床、夜11時就寝の規則正しいリズム

● 平日は仕事、週末は家事や買い物という明確な区分

● 「時間がない」という感覚に慣れ親しんでいた

しかし退職後は、この構造がすべてなくなりました。最初の1ヶ月は開放感がありましたが、その後は「時間はあるのに何をしていいか分からない」という状態に。この時期を乗り越えるために、まずは自分の時間に対する価値観を見直すことから始めました。

生活リズムの再構築

充実した時間を過ごすための土台として、新しい生活リズムを作ることが重要でした:

1. 起床・就寝時間の維持:

仕事がないからといって生活が不規則になると、時間の価値が下がってしまいます。朝6時30分起床、夜10時30分就寝を基本パターンにしました。

2. モーニングルーティンの確立:

朝の時間を有効活用するため、起床後の1時間を「自分時間」として設定。コーヒーを飲みながら読書や日記を書く時間にしています。

3. 週単位での計画:

月曜から日曜までの大まかな予定を立て、メリハリのある生活を心がけています。すべてを予定で埋める必要はありませんが、「何もない日」と「予定がある日」のバランスを意識しています。

時間を3つのカテゴリーに分類する

退職後の時間を有効活用するため、時間を以下の3つのカテゴリーに分類しました:

● 必要時間(Must Time):

食事、睡眠、入浴、掃除、洗濯など生活に必要不可欠な時間。これらは効率化して時間を短縮する工夫をしています。

● 成長時間(Growth Time):

新しいことを学んだり、スキルを向上させたりする時間。読書、ボランティア活動、趣味の園芸などがこれにあたります。

● 楽しみ時間(Joy Time):

純粋に楽しむための時間。夫との散歩、友人との食事、テレビ鑑賞、昼寝なども大切な時間として位置づけています。

この3つのバランスを取ることで、充実感のある日々を送れるようになりました。

新しい目標設定の考え方

退職後の目標設定は、現役時代とは異なるアプローチが必要です。私が実践している目標設定のポイントをご紹介します:

● 「成果」よりも「過程」を重視:

事務職時代のような数値目標ではなく、「楽しく続けられること」「自分が成長できること」を重視しています。

● 短期・中期・長期の組み合わせ:

今日できること、1ヶ月で達成したいこと、1年かけて取り組みたいことを組み合わせています。

● 柔軟性を持った目標:

体調や気分に合わせて調整できる余地を残しています。完璧を求めすぎず、80%達成できれば良しとしています。

ボランティア活動で社会とのつながりを

私の時間の使い方で最も充実感を得ているのが、現在参加しているボランティア活動です。具体的な活動内容と時間の使い方をご紹介します:

● 地域清掃活動(月2回、土曜日午前):

近所の公園や道路の清掃活動に参加。同年代の方々との交流もあり、地域への貢献と社会参加を同時に実現できています。

● 読み聞かせボランティア(週1回、水曜日午後):

地域の図書館で子どもたちへの読み聞かせ。事前準備の時間も含めて、週3時間程度の活動ですが、大きなやりがいを感じています。

● 高齢者施設でのお手伝い(月1回、平日午前):

事務職の経験を活かして、施設の事務作業をお手伝い。自分のスキルが社会に役立っているという実感が得られます。

趣味の時間を構造化する

趣味の時間も、ただ漫然と過ごすのではなく、ある程度構造化することで充実感が増します:

● 園芸の時間(毎日30分):

朝の水やりから始まり、季節ごとの植え替え、収穫の楽しみまで。神戸の自然豊かな環境を活かして、ベランダでハーブや季節の花を育てることで日々の変化を感じられます。

● 読書の時間(毎日1時間):

月4-5冊を目標に、小説、エッセイ、実用書をバランスよく読んでいます。読書記録をつけることで、自分の成長も実感できます。

● 料理の時間(平日午前):

新しいレシピに挑戦したり、季節の食材を使った料理を研究したり。夫にも好評で、夫婦の会話も弾みます。

● 写真撮影(週末):

神戸の四季を記録する楽しみ。散歩を兼ねて、街の変化や自然の美しさを撮影しています。

学習時間の確保と継続

● 新しいことを学ぶ時間:

週に2時間程度、新しいことを学ぶ時間を確保しています。現在はスマートフォンの使い方やデジタル写真の編集方法を学んでいます。

● 文化活動への参加:

神戸は街の中心地へのアクセスが良好なので、月1回は美術館や博物館、コンサートなどに足を運び、文化的な刺激を受けるようにしています。

● 語学学習の継続:

学生時代に学んだ英語を思い出しながら、NHKの語学番組を活用。1日15分の短時間でも継続することで、少しずつ上達を感じています。

● 健康に関する知識習得:

年齢とともに重要になる健康管理について、書籍やセミナーで学んでいます。

夫婦の時間と個人の時間のバランス

退職後は夫婦で過ごす時間が増えるため、お互いの時間の使い方について話し合いました:

● 共通の時間:

朝食と夕食は一緒に取り、その日の出来事を話し合う時間にしています。週末の散歩も夫婦の大切な時間です。

● 個人の時間:

午前中は各自の時間として、私はボランティア活動、夫は読書に集中しています。お互いの時間を尊重することで、一緒にいる時間もより充実します。

● 新しい共通の趣味:

一緒に楽しめる新しい趣味として、近所の史跡巡りを始めました。神戸の歴史を学びながら、夫婦の会話も弾みます。

季節ごとの目標と計画

1年を通じて充実した時間を過ごすため、季節ごとに目標を設定しています:

● 春(3-5月):

新しいことを始める季節として、習い事やボランティア活動への参加を検討。園芸でも春の花や野菜の植え付けを楽しんでいます。

● 夏(6-8月):

体力づくりの季節として、朝の散歩時間を延長。また、夏野菜の栽培にも挑戦しています。

● 秋(9-11月):

読書の季節として、読書量を増やします。また、地域の文化祭などのイベントにも積極的に参加しています。

● 冬(12-2月):

内省の季節として、1年の振り返りと来年の計画を立てる時間にしています。手芸などの室内でできる趣味も楽しんでいます。

時間管理のツールと工夫

効果的な時間管理のために、以下のツールと工夫を活用しています:

● 手帳の活用:

デジタルではなく、手書きの手帳を使用。予定だけでなく、その日の気づきや感謝したことも記録しています。

● 週間計画表:

冷蔵庫に貼った週間計画表で、夫婦の予定を共有。お互いの時間を把握し、協力し合えるように工夫しています。

● 時間の記録:

1週間に1回、時間の使い方を振り返る時間を設けています。「今週は読書時間が足りなかった」「ボランティア活動が充実していた」など、次週への改善点を見つけています。

● 目標の見える化:

月間目標と年間目標を書いた紙を、よく見える場所に貼っています。毎日見ることで、目標を意識した時間の使い方ができます。

健康管理と時間の関係

充実した時間を過ごすためには、健康管理が欠かせません。時間の使い方に健康への配慮を組み込んでいます:

● 運動時間の確保:

毎日30分の散歩を基本とし、週2回はラジオ体操も行っています。神戸の自然豊かな環境のおかげで、散歩も楽しく続けられます。

● 食事時間の大切さ:

食事は単なる栄養補給の時間ではなく、夫婦のコミュニケーションの時間として大切にしています。

● 休息時間の確保:

活動的な時間だけでなく、ゆっくりとした休息時間も意識的に確保。昼寝や入浴時間も大切な時間として位置づけています。

地域との関わりと時間の使い方

神戸という地域の特性を活かした時間の使い方も大切にしています:

● 地域イベントへの参加:

町内会の夏祭りや文化祭など、地域のイベントに積極的に参加。準備から当日まで、地域の方々との交流を深めています。

● 地域資源の活用:

神戸市の図書館、文化施設、公園などを積極的に利用。街の中心地へのアクセスが良好なので、公共施設を活用することで、お金をかけずに充実した時間を過ごせます。

● 自然との触れ合い:

神戸の自然豊かな環境を活かして、四季の変化を感じながら時間を過ごしています。散歩コースも季節に合わせて変えています。

時間の価値観の変化

退職後の時間の使い方を通じて、時間に対する価値観が大きく変わりました:

● 「効率」から「充実」へ:

事務職時代は効率重視でしたが、今は時間をかけて丁寧に取り組むことの価値を実感しています。

● 「忙しさ」から「豊かさ」へ:

忙しいことが価値だと思っていましたが、今はゆったりとした時間の中にも豊かさがあることを知りました。

● 「個人」から「社会」へ:

自分のためだけでなく、社会のため、地域のために時間を使うことの喜びを発見しました。

失敗から学んだ時間管理

すべてがうまくいったわけではありません。失敗から学んだ教訓をお伝えします:

● 予定を詰め込みすぎた時期:

退職直後、空白の時間が怖くて予定を詰め込みすぎました。結果的に疲れてしまい、どの活動も中途半端に。適度な余白が必要だと学びました。

● 目標を高く設定しすぎた時期:

「毎日運動する」「月10冊読書する」など、高い目標を設定しすぎて挫折しました。現実的な目標設定の大切さを実感しました。

● 夫婦の時間調整の難しさ:

最初は夫婦の時間の使い方がうまく調整できませんでした。話し合いを重ねて、お互いを尊重する時間の使い方を見つけることができました。

読者の皆さんへのアドバイス

退職後の時間の使い方は、人それぞれ異なります。私の経験から、いくつかのアドバイスをお伝えします:

1. 完璧を求めすぎない:最初から完璧な時間の使い方はできません。試行錯誤しながら、自分に合った方法を見つけましょう

2. 小さな目標から始める:大きな目標よりも、達成しやすい小さな目標から始めることをお勧めします

3. 人との関わりを大切に:一人でできることも大切ですが、人との関わりがある活動は特に充実感があります

4. 地域資源を活用する:住んでいる地域の施設やサービスを積極的に活用しましょう

5. 健康第一:どんなに充実した時間を過ごしても、健康でなければ意味がありません

おわりに

退職後の時間は、確かに現役時代とは異なる性質を持っています。しかし、その違いを受け入れ、新しい時間の価値を見出すことで、人生の新しい章を充実したものにできます。

私自身、まだまだ試行錯誤の毎日です。時には予定通りにいかない日もありますが、それも含めて楽しんでいます。大切なのは、自分らしい時間の使い方を見つけることです。

皆さんの退職後の時間が、発見と成長に満ちた豊かなものになることを心から願っています。一緒に、新しい人生の時間を大切に過ごしていきましょう。